市バス問題の経過と今後の課題について

市バス問題の経過と今後の課題について
21年度以降の福知山市バスの運行管理業務の委託契約問題について2月初旬から今日までの主な取り組み経過を報告します。

1、入札の経過
2月 2日  市民人権部長、次長が来荘、新年度以降の市バスの運行管理に入札制度を導入したい旨の発言があった。これについて「一般的な入札制度が地域と密着したバスの運行管理になじむのか」疑問点を表明
2月 4日  郵送で見積依頼書届く 
2月20日  見積書持参
2月23日  生活交通課から電話で落選通知
2月28日  三和町自治会長会名で(1)バスの更新(2)アンケート結果の報告の件(3)地域の実態に対応した市バスの在り方について市に文書で申し入れを行った
3月 2日  市民人権部次長来荘
        小林自治会長から申し入れを受けたので経過の説明にきた
        疑問点を聞いたが明確な答なし 法的手段も検討すると通告
3月 2日  バス運転手集会
        経過説明と解雇通知
        (注 市に対して説明に来るように要請するも必要なしと拒否)
3月 3日  市民人権部長、次長来荘
        市長の命を受け副市長から経過説明に行くよう指示された
        (1)6社に見積依頼 4社が参加
        (2)見積依頼は課長決裁
        (3)落札結果は従来から電話通知
        (4)落札結果に基づき随意契約
3月 3日  (有)テクコ ハローワークに求人募集
3月 4日  福知山松山市長と会談(三和支所)
3月 5日  小西副市長、市民人権部長と会談(三和支所)
        副市長の見解
        (1)入札にあたって配慮に欠けた。市バスの運行等については特殊性もありプロポーザル方式が適当であったと思う
        (2)事前説明会がなされず郵送で通知したのでは説明責任が果たせていない
        (3)入札の開票の日時と場所が明記されていないことは問題であり第3者の立ち会いもないのは問題
        (4)単に料金だけで決めるのは市バスの性格から問題ありで選定委員会をつくるなど配慮が必要
3月 6日  (有)テクコがバス休憩所を訪問しチラシを配布
3月 6日  荒木運転手自宅にテクコから電話あり「3月9日夜に説明会をしたい」
3月 7日  市民人権部長来荘
        テクコのチラシの真意を聞く
3月 9日  福知山ハローワークへ求人票入手
3月 9日  テクコ説明会に運転手6名参加
3月12日  鴨川法律事務所 尾藤弁護士 市民共同法律事務所 塩見弁護士と協議
3月12日  尾藤、塩見弁護士と協議
3月23日  申し入れ書作成
        福知山市長に申し入れ
3月23日  旧三和町民から市バス問題についての公文書開示請求
3月24日  市議会議長に要望
3月25日  運転手2名が(有)テクコに求人申込みに行くも拒否される
3月27日  市議会21年度予算可決成立
3月28日  広田市民人権部長 電話で随意契約は有効、テクコと契約
        文書で回答を要求
3月31日  福知山市長から回答
4月 1日  小西副市長と会談
4月 1日  福知山市から公文書部分開示通知書届く

 

2、入札手続き上の問題点
1)ことの発端はコストの削減からスタート、地域性や過去の実績は考慮されず
2)一般競争入札、指名競争入札、プロポーザル方式、随意契約の検討が十分されていない。
3)指名競争入札資格を取得している業者が2業者だけだったので見積入札とした。
4)業者を選定した基準はバス運行の経験のある業者とした。しかし、落札した   業者はスクールバスの経験はあるが路線バスの経験はない。事前に業務内容や就業規則等のチエックがなされていない。
5)随意契約の基準に合致しない。「市長が特に認めたもの」を適用したとのことだがこの項の適用は緊急の場合や非常事態等特別の事情に適用するもの。(後日、情報開示では福知山市財務規則の施行について(例規通達)第5号第1項適用が判明)
6)見積依頼業者に対して事前説明会がされていない。
7)見積依頼書の中に提出期限は記載されているが開封の日時、場所が記載されて
いない。
8)第三者を加えた選定委員会が設定されてしない。
9)地域制や過去の貢献度が加味されていない。

 

3、申し入れ書の提出と回答
1)今回の契約について法的に問題点を明らかにするため尾藤、塩見弁護士を代理人に依頼し「申入書」を作成、3月23日、福知山市長に申し入れ書を提出した。
2)申し入れ書の趣旨は、(ア)福知山市は、平成21年度以降の旧三和町内における市バスの業務委託について、有限会社テクコとの間で締結した随意契約を解約せ。(イ)福知山市は、平成21年度以降の旧三和町内における市バス業務につき、特定非営利活動法人丹波・みわに業務委託せよ。というものである
3)3月24日、福知山市議会議長あてに3月23日福知山市長に対して申し入れ書を提出したことを「申入書」を添付して検討を要請した。
4)3月31日、福知山市長から文書回答が寄せられた。
5)その内容は、(ア)有限会社テクコと契約いたします、(イ)本市の契約事務のあり方について全庁的に統一化を図ります。いろいろとご意見をいただきましたことについては、改善すべき点は改善させていただきたいと考えておりますので何卒ご理解いただきますようよろしくお願いいたします。というものであった。
(2)、小西副市長との会談
1)4月1日、小西副市長と広田部長と会談し回答の内容について話し合った。
2)今日まで契約のやり方については部毎の内規等で行ってきており統一化されていなかったことが今回の結果を招いた。
3)市民病院をめぐる問題、職員の汚職問題に加え今回指摘されたことを踏まえ全庁的に見直しをおこなうために早急に第三者を含めた研究委員会を立ち上げて統一化を図りたい。また専任の部署も考えたい。
4)過疎化が進む中での交通問題などは福祉、過疎有償運送などと一体的にとらえる地域性などを考慮する必要がある。そのためにご協力をいただきたい。
5)市が契約した新しい会社に採用されなかった2名については市が働く場所を紹介したい。 

 

4、公文書開示と問題点
1)3月23日、旧三和町民から市バス問題に対する公文書開示請求が出された。
2)4月1日、福知山市長名で公文書部分開示決定通知書及び公文書不存在決定通知書が届いた。
3)19年度、20年度の随意契約の契約方法として地方自治法施行令第167条の2第1項第2号による随意契約及び福知山市財務規則の施行について(例規通達)第5号第5項第1号によるとなっているがこの条文は「契約の目的が代替性のないものであるとき」となっている。この条項を適用することについては疑義があるが、もし、正当であるとすれば今回なぜ6社見積もりとしたのか
4)また、一社見積による随意契約とする理由として、財務規則136条第2項第「契約の性質又は目的により相手方が特定されるとき」により一社見積とするとなってい
る。
5)さらに、19年度では随意契約の理由として「NPO 丹波・みわは三和町の市バスの現状及び地域の実態を十分に把握しており、従来より適正な運行が図られている。同者と契約することによりもっとも適正かつ安全な運行が確保されるとしている」と記載されている。
6)20年度では「スクールバスの登下校時の混乗・空き時間の利用、デマント運行、バス停・ルートの見直し等を組み合わせて経費削減の実現に向けた試行検討をおこなう。このためには運行状況、利用者の傾向、他の公共交通との乗り継ぎなど、効率化に向け運転者や運行責任者に実情をヒヤリングしながらの作業が必要であり、現状及び地域に実態を十分に把握している「NPO法人丹波・みわ」と随意契約するものである」と記載されている。
7)  21年度から23年度の長期契約についても基本的に19,20年度と同様の条例、規則、例規通達を適用し随意契約としているが、長期契約とするためその関連の条例、規則を適用するとしている。
8)  契約の理由として、「市バスの運行については現状及び地域の実態を十分に把握し、適正かつ安全安心な運行を図ることが必要となり、さらに決定業者と運行状況、利用者の傾向、他の公共交通との乗り継ぎなど効率化に向け運転者や運行管理責任者に実情をヒヤリングしながらの作業となるため長期継続契約とする」記載されている。
これら一連の決裁文書を総合的に判断するとNPO法人丹波・みわは過去の実績も含めて十分な資格があるといえる。一方、6社の見積もり業者の中には路線バスの運行経験がない業者も含まれているが、選定にあたって事前調査はどの程度行われたのか疑問である。
9)予定価格について「業務委託設計書が作成できないため予定価格は設定しない」となっているが、過去3年間の「NPO法人丹波・みわのバス事業収支報告書」や予算内示の数字からみても算定不可能ではないと思われる。
10) 見積依頼書(生活第531号)には(公印省略)となっている。福知山市文書取扱規定第57条の何項に該当し公印を省略したのか。未決裁文書のために公印省略したのではないか疑問である。

 

5、原因と課題について
1) 今回の事例は一連の手続きの問題から発生し、条例、規則の適用に不備があったことが明らかになった。その結果、NPO職員の解雇という最悪の選択を押しつけられる結果となった。
2)この問題が明らかになった時点から福知山市とねばりづよく話し合いを行なってきたが進展しないもとで弁護士2人を代理人にたて「申し入れ書」を作成し市長に提出し、3月31日文書回答があった。その後、担当副市長とも回答の趣旨について話し合いを行なった。そのおもな内容は手続き上の不備は認めつつも契約は落札業者と結ぶというものであった。
3)そもそも三和のバス「はぎ号」は昭和61年、当時の国鉄バスの路線廃止が発端で始まりその後中丹、神姫バスなど当時三和に乗り入れていた路線バスの廃止から町民の交通手段の確保のために町営バスとして直営で運行を続けてきたものである。
4)また、大江、夜久野のバス、旧市内の中六人部、三岳などの自主運行バスなどそれぞれの地域での歴史的な経過を持って運行されてきている。
5)その後、福知山市に編入合併が決まる中で、三和のバスはNPO丹波・みわが職員も含めて引き継ぐことになった。また、合併協議会の中では数年以内に交通体系を見直すこととなっていた。
6)合併後、三和支所と協力して三和地域の交通体系についての提言を作成、全国の状況を知るために交通ジャーナリストの話を聞いたり、土曜運行のあり方、JR 嵯峨野山陰線特急との接続、三和荘利用者との関係などバスのあり方について数々の提言を行なってきたが、条例との関係、大江、夜久野との関係などを理由に何も改善がされなかった。
7) 福知山市はアンケートの実施、コンサルタントによる聞き取り調査などを行なったがその結果はいまだに報告されていないし、総合的な交通ネットワーク体系の構築をめざす「地域公共交通会議」を立ち上げたが形式だけで実質的な討議は進展していない。
8) この間、9号線を走るJRバスはデマント運行などの工夫はされてきたが乗客数の減少に歯止めがかからず減便を余儀なくされて来ている。以前から通学運賃が高額なため三和地域の生徒の通学は親が送迎をしているのが実情であるが、JRの減便はこの状態に拍車をかける事態となっている。
9) さらに、保育所、学校の統廃合も現実の問題となりスクールバスの運行も現実の課題として浮かび上がっている。
10)こうした、基本に関わる問題を放置して「経費削減」だけを追求する福知山市の考え方に問題発生の原因がある。
11)持続可能なまちつくりの一環としての交通問題を過疎、福祉有償運送事業などと一体的にとらえた政策づくりが求められる。
12)情報開示で明らかになったことは決裁文書では「地域の実態を把握し適正な運行」という言葉が書かれているが結果は裏腹となっていることである。今回の契約は利益追求が目的ではなく、市民の交通手段の確保と安心安全の運行の確保である。営利企業がこの種の事業で利益を追求するとすれば人件費削減、労働条件の切り下げ、整備費用の削減以外に考えられない。こうした事態を招いた行政は、今社会問題となっている不安定雇用労働者の増大を招くものと言わざるを得ないし、安全安心の運行に支障をきたすことにつながっていく。


今後の課題は、
(1) 条例、規則等の法令遵守のための体制整備と条例、規則等法令違反に対する処分の明確化、研修の強化である。
(2) 入札、契約の在り方についていかに公正の原則を堅持し加えて京都府など全国的に導入されようとしている地域貢献度を加味した入札、契約制度の検討
(3) 「地域公共交通会議」など既存の組織(例えば地域、部門別分科会)の設置の活性化と自由に討議できる場を積極的に立ち上げ市民の意見を大切にする土壌をつくりあげ市民の期待に応えることが求められている。
(4) NPO 法人と行政の協働の在り方の検討
(5) 指定管理者制度の位置づけ(行政と対等の立場)
(6) 公契約条例の検討
 以上の課題を実現させるために引き続き積極的な提案や話し合いを行っていくものである。